片岡義男の「緑の瞳とズームレンズ」ですが、平成2年に文庫で買ってありました。まあ、それを読み返してみたわけです。
話のスジは、地方の街々に出かけて、主人公(片岡義男本人?)が気になったものを写真にとりながら、同行の女性(白人女性で日本在住)と、その風景の意味について考える、という虚無的な旅の小説です。少なくとも前半はそんな感じで、文庫の帯にも『四季がめぐる日本。楽しい小旅行。紀行小説の新しい試み-。』と書かれている。 きっと、編集者も、バブル真っ盛りに、この内容に理解がついていけてなかったんじゃないかなぁ・・・といった見出しです。
しかし、後半は一転して、現代の文化、傾向というものにかなり鋭い解析を入れている。
自分は、20年前に買って、一度は読んだと思うのだが、今読むと、その内容にかなりはっとさせられる。
20年前に書かれたということはバブル期最中に書かれているということなのだが、その後の世の中の人々の疑問とその解決につながる行動への示唆が、既に書かれている、というように読めるところがあった。うーん、片岡義男って奥が深かったのね。 まあ、20代で、バブル期真っ最中に、これを読んで、?!と思ってたら、それはそれでおかしいかな、とも思いますが。
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